羊 飯

Hops125というお店をやっているグロさんの羊飯ブログです。大好きなひつじ肉やビール、ワインの事も書きますが、飲食人ブロガーとして日々の雑感、健康、乳酸菌などの情報を載せていきます。個人的にはブログは必須だと思ってます。ブログを運営し自分がありたい未来を描きたいですね(^^)

白土三平の代表作「カムイ伝」は奥が深い

カムイ伝なう。

 

カムイ伝今読んでもというか、

子供の頃はちょっと難しくて理解していなかったところだらけ…w

でも、ストーリの奥の深さや平行して進んで行く各主人公達の運命は当時読んでいてもワクワクするものだった。

僕もこの歳になると細部のストーリー構成や物語の背景、社会構造などが良く理解出来る。

 

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小学館が出している決定版カムイ伝全集一部全15巻、二部全12巻、外伝全11巻がある。

この内、カムイ伝一部が白土三平の代表作でありこの物語の最も重要なものだと思います。

 

日本国内がイデオロギーの嵐で揺れ動いていた時代(1960年代)に出版された物語で、白土三平が幼少の頃強く影響を受けた父岡本唐貴(日本を代表するプロレタリア画家)の生き様、思考・観念が色濃く凝縮されたものとなっている。

 

現在、時間をかけながら読み進めていますが、

重いテーマをよくここまで描いたなあ〜というのが印象。

江戸時代の封建制度の中で生き抜く様々な人たちのリアルな生き様が見事に描かれている。

 

この時代になっても大枠の社会構造は江戸時代とそれ程大きくは変わっていないのでは無いか?と思え色々と考えさせられます。

 

現在も存在する支配層と被支配層。

 

被支配層をコントロールする手法として分断統治の手法を用いる事などは現在も行われている事ですし、差別の意識も人間の奥底にある思考形態から生まれてくる問題であり、支配層は巧みにそれらを使い90%以上の人たちをコントロールしているのです。

 

ただの歴史漫画ではなく、人間とは?それを構成する社会とは?大自然が紡ぎ出す営みとは?(ここでは狼を通じてそれが表現されています)これらが全て一体となり大きな物語を構成することになります。

 

あと、

ストーリーの途中に解説や注釈が入る事でより理解が深まり、よりリアルさが加わります。

 

巨匠、手塚治虫も絶賛する意味がよく分かります。

 

 

私的漫画世界 白土三平のすべてがここに凝縮されているより一部引用

カムイとは

 

カムイは神威などとも表現され,「神を意味するアイヌ語」とされていますが,必ずしも私たちの考えている絶対的な超越者を意味するものではありません。近代以前のアイヌの人々の宗教観はアミニズムであり,生物・無生物を問わずすべてのもの,あるいは自然現象(地震津波,疫病など)の中に「ラマッ」と呼ばれる精霊が宿っていると考えていました。

アイヌの人々は世界を「人間の住むところ(アイヌモシリ)」と「精霊の住むところ(カムイモシリ)」に分けて理解していました。アイヌモシリのラマッは何らかの役割をもってやって来ており,その役割を果たすと再びカムイモシリに戻ると考えていました。日本語の精霊に相当するアイヌの言葉は「ラマッ」ですから,カムイに相当する日本語は思い当たりません。

私は北海道出身ですので「カムイ」という言葉は小さなころから知っていましたが,北海道以外の日本人がこの言葉を知るようになったのは「カムイ伝」によるところが大きいことでしょう。この特異な響きをもつ言葉は作品中では双子の兄弟とシロオオカミの名前として使用されています。

どちらの場合も命名者は山丈(やまじょう)という山に棲む巨人です。山丈は大きな感銘を受けたときに「カムイ」と口走ります。夙谷(しゅくだに)に現れた山丈は幼児から握り飯を差し出され,幼児を抱き上げて「カムイ」と口にします(第1巻)。

猟師の犬たちに追い詰められたシロオオカミは断崖を背にして犬と闘い全滅させます。これを見た山丈が「カムイ」と叫び,彼に向かって手を合わせます(第4巻)。

物語の最終盤には日置大一揆があり武士と戦う一揆衆を後押しするように山丈が「カムイ…オオーッ」と叫びます(第19巻)。作品中には「人のこころの強さ,美しさ,豊かさに喜びと尊敬の感動があるとすれば,この叫びは一つのものとなる」と解説されています。

カムイ伝」を白土三平のもう一つの代表作とされる「忍者武芸帳」と比較すると,エンターテインメント要素が可能な限りそぎ落とされ,徳川幕藩体制下で様ような矛盾に突き当たりながらも,懸命に生きていこうとする人々の姿が克明に描かれています。

忍者武芸帳」では一つの集団として描かれていた農民を「カムイ伝」では個人のレベルまで掘り下げて,圧倒的なリアリティと物語の重厚感を紡ぎ出しています。

物語のタイトルとなっている「カムイ」は忍者カムイとシロオオカミだけではなく権力や差別に立ち向かっていく多くの人々の象徴となっています。言いかえると物語の中には多くの「カムイ」が存在し,新しい人間社会を目指す彼らの苦悩と行動を描き出すことが「カムイ伝」の最大のテーマとなっていると考えます。

私的漫画世界|白土三平|カムイ伝

 

 

 

今、小学生の娘と一緒に読んでいますが、

普通の歴史教科書では読み解く事が出来無いリアルな歴史と、その時代に生きた人たちの人間模様を少しでも理解し、時間を経ても色褪せない本物の物語であるという事を記憶に留めておいて欲しいなあと思っています(^^)

 

追記:

僕の実家も百姓だったのでこの物語に出てくる人達のことがリアルに分かります。

小さい頃よく母親や祖母に聞かされたので。

実家は村の中の小作人だったようです。

本家の石黒からの分家で田畑を譲り受けましたが、

うちの祖父が大酒飲みで、何枚もの大きな田んぼを二束三文で売ってしまったらしい...(泣

でも、救いだったのは分家した際にお嫁に来た人が村で最も裕福だった家のお嬢さんだったようです。(富山で多くの財を成した安田と言えば有名でしょう)

たびたび、石黒(分家の)の窮地を救ってくれたようです。

 

 

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